令和7年6月議会(一般質問)
2025年6月9日月曜日活動記録
【今回の一般質問】
・学びの多様化学校について
・新田屋内運動場について
・アライグマ等の有害獣について
・漏水による高額水道料金の発生防止について
【大垣ケーブルテレビ放送日】
6月17日(火) 13 :00~
6月21日(土) 8 :00~ (再放送)
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[一般質問 一回目登壇]
▼自民党緑風会の種田昌克でございます。
▼宮澤賢治の作品に「猫の事務所」という有名な短編童話がございます。どういう内容かと申しますと、ある街に、猫の第6事務所というのがありまして、そこでは5匹の猫が働いています。黒猫、白猫、虎猫、三毛猫、かま猫といった具合です。猫の事務所は猫たちにとってあこがれの就職先でありまして、みんな働きたいと思っています。ですから、欠員が出ると多くの若い猫が志願します。かま猫は競争を勝ち抜き採用されました。ちなみに、かま猫というのは、皮膚ではなく、皮が薄く外で寝ることができないため、夜には釜のなかに入って寝る猫なので、かま猫と呼ばれています。また、いつも煤で真っ黒に汚れているため事務所のほかの猫たちから嫌われています。あるとき、かま猫はみんなに無視され、仕事を与えてもらえなくなりました。かま猫は自分自身を責め、周囲に受け入れられるように努力しますが、状況は改善されません。
こういったことはネコ社会だけでなく、われわれ人間社会でもある話なわけで、物語はまだまだ続くのですが、なぜこの話を紹介したかというと、30年ほど前のことです。ある中学校の演劇部での話です。演劇部のある女子生徒が、この「猫の事務所」を舞台化したいと思いました。その理由はというと、不登校になった友人がいて、その友人に、かま猫役を演じてもらい学校内にいじめ問題があるということを提起したかったから、なんだそうです。それで、その友人に出演してもらうため、毎朝毎朝、一緒に学校に行こうと家まで誘いにいったそうです。しかし、そのことが原因で先生や同級生とトラブルとなってしまい、ついには、その女子生徒自身も心を病んでしまい、不登校になってしまいました。それから30数年、その女子生徒は50歳になってもなお、中学時代のジャージを着たまま自室に引きこもり続けています。お父さんはお亡くなりになられ、妹さんは嫁がれて、80代のお母さんとの二人暮らしです。これは不登校問題から派生した8050問題でもあります。
不登校にはさまざまな理由があり、これはほんの一例に過ぎませんが、こんな事例もあるんだと頭の片隅に置いていただき、これから申し上げる不登校の話に耳を傾けていただければと思います。それでは、通告に従いまして4件について質問させていただきたいと思います。
▼1件目。「学びの多様化学校について」です。
文部科学省によると、不登校の小中学生は、2024年10月発表の数字では34万6482人と11年連続で増加しつづけています。そうしたなか、不登校の子どもたちの受け入れ先の一つとなっているのが「学びの多様化学校」です。国は支援策の1つとして、授業時間を減らすこと、柔軟にカリキュラムを組むことなどができる特例校「学びの多様化学校」を全国に300校設置することを目指しておりまして、今年度、全国で新たに23校が開校し合計58校となる見通しとなっています。
もともとは2004年に「不登校特例校」という名称で初めて設置され、2023年に現在の「学びの多様化学校」に変更されました。「学びの多様化学校」というのは、不登校の状態やその傾向にある子どもたちのための学校です。公立や私立の小学校や中学校、高校それぞれにあります。本市にはまだありませんが、県内には、岐阜市立草潤中学、北方町には今年4月に開校したばかりの町立北学園オンリー1、高山市立宮中学校の分教室「にじ色」、そして、学校法人西濃学園中学の4校があります。学校教育法施行規則に基づいて設置されていることから、当然、一般の学校と同じく卒業資格を得ることができます。現在、不登校により学びの遅れを取り戻したい生徒、在籍校とは違った新たな友人関係を求めたい生徒、長期欠席により在籍校に戻りにくくなった生徒などさまざまな子どもたちが学んでいます。
全国的に見ますと、不登校児童生徒数は、中学生で216,112人。全国の中学生は3,220,963人ですから、その割合は6.71%となります。しかし、不登校児童生徒として報告される人数は30日以上の欠席者ということになっていますので、相談室登校や保健室登校、教育支援センターやフリースクールなどへ通っている不登校傾向の児童生徒で欠席日数が30日に満たない児童生徒は含まれておりません。もし含めると、その比率はかなり増加すると思われます。本市における不登校児童生徒数は令和4年に357人でしたが、子どもの数は減っているのにもかかわらず、令和6年度調査では492人と増加しているそうです。実際にはもっと多いと考えても良いのかも知れません。
そうしたなか、本市におきましては、2023年9月1日に、学校法人西濃学園と不登校児童生徒の自立支援の充実に向けて連携協定を締結しております。自治体が私立の特例校と不登校支援で連携協定を結ぶことは初めてのこととして新聞でも紹介されておりました。不登校の生徒にとって、学びの多様化学校は新しい学びの場として社会復帰の機会を提供する貴重な存在です。また、学びの多様化学校と同じく不登校児童生徒の居場所としてフリースクールがあります。2015年の文部科学省の調査によると、フリースクールなどの1か月あたりの授業料の平均額は約3万3千円とのことです。学びの多様化学校の授業料平均額はわかりませんが、西濃学園で月6万5千円だそうです。この費用を継続して負担できる家庭は少数だと感じています。実際に、フリースクールなど民間の居場所の会費の減免措置などを求める保護者の声は多く、全国的には学びの多様化学校やフリースクールに通う子どもへの授業料支援を行っている自治体も増えてきており、その数は40自治体以上になります。
そこで、3点お尋ねします。
①現在、本市は西濃学園とどのような連携を図られていますか。
②今後、本市において分教室も含む学びの多様化学校の設置を検討していますか。
③現在、フリースクールや学びの多様化学校に通う生徒に対し、費用面における支援制度を設けてはいかがでしょうか。
▼2件目、「新田屋内運動場について」
ついにというか、市民会館の建物が解体されました。生まれてからずっと見慣れていた風景が変わっていく様にまだ慣れない日々が続いています。一方、道の反対側に目を移すと、緑色の新田屋内運動場の建物が着々と完成に近づいてきております。市民会館が無くなり、どことなく寂しさを感じている方々にとって、この新田屋内運動場の完成は一筋の明るい光明でもあります。
もともと、この場所には1997年に閉校した高等理容美容学校がありましたが、このたび、田口福寿会様から県内初の人工芝の公共屋内運動施設としてご寄付いただけることになりました。今後、ご寄付をいただいたあとは、市が管理運営し、大垣ミナモソフトボールクラブが雨天練習場として利用されるそうです。しかし、大垣ミナモが使用しないときは、市民向けに開放されるとお聞きしております。
地元のみなさんの関心は非常に高く、私もいろいろと尋ねられます。期待の高さの現れなんだと思います。
そこで、5点お尋ねします。
①正式名称は「新田屋内運動場」と決まったということで、広報おおがきでは愛称の募集もされておられました。既に募集は締め切られましたが、何件の応募がありましたか。またどのように愛称は決定されますかお尋ねします。
②大垣ミナモソフトボールクラブ等が使用するとき以外は、一般開放されるとのことですが、実際にどのような活用方法を考えておられますか。利用対象は団体のみでしょうか、個人でも利用可能でしょうか。
③多くの方に活用していただける親しみのある施設になることを期待していますが、フットサル、ソフトボール、グラウンドゴルフなどのスポーツでの利用を想定しているとのことですが、さらにいろんな方にご利用いただけるような方策を何か検討していますか。また近隣の小学校やこども園などによる活用について検討されていますか。それと、使い方によっては、こどもたちにとって良い居場所にもなると考えますが、スポーツ教室などの企画等の予定はありますか。
④施設の管理方法はどのようにされますか。管理人を置かれますか。また、鍵の管理や施設利用の予約方法はどのように考えていますか。
⑤ 避難所としての活用も検討されているとお伺いしました。避難所にも、さまざまな形態がありますがどのような避難所を想定していますか。
▼3件目。「アライグマ等の有害獣対策について」
近頃、特定外来生物に指定されているアライグマによる被害が高まっているように感じています。特定外来生物とは、生態系を乱す、人に害を与える、農林水産業への被害を及ぼす恐れがある外国産の指定された生き物のことです。158種が指定されており、アライグマは2005年に指定されました。
そもそも、日本でアライグマが増えた理由は、1977年に放送されたアニメ「あらいぐまラスカル」の影響が大きく、この作品によってアライグマがかわいらしいというイメージが広がり、ペットとして大量輸入されました。
あらいぐまラスカルは、20世紀前半のアメリカ・ウィスコンシン州の小さな町の物語です。私も子どもの頃、見ていましたが、ラスカルは成長するにつれて野生の本能が強くなり、周囲に迷惑をかける場面が描かれていたのを覚えています。飼い主の少年スターリングがラスカルにトウモロコシを与えたところ味を覚えていまい、夜になると近所のトウモロコシ畑に入り込んで食べ続けるという事件を起こしてしまいます。多くの人に迷惑をかけ、その結果、檻に入れられ最終的には飼い続けることができなくなってしまい、自然に返されるといった内容でした。つまり、これはアライグマが人間と共存できないことは、既に100年前に証明されていたということを示しています。実際、アライグマは、人になつきにくく、アニメのブームが去った後、逃げたり捨てられたりして野生化しました。農林水産業への影響は大きく、1979年にアライグマが定着したとされる北海道では農業被害額が1億2000万円にも上るそうです。
大垣市内においてもアライグマによる被害報告を耳にします。例えば、昨年、体がご不自由なお一人暮らしの70代の方から聞いた話ですが、その方は、ヘルパーさんが作ってくれた食事を侵入してきたアライグマに食べられてしまったそうです。しかもそのあと、アライグマは飼っていた猫まで襲ったという話を聞きました。その間、ご自身はベッドに横になったまま、ただただやられているのを呆然と見ているしかなかったそうです。もしかしたら、その方自身も襲われた可能性すらあります。しかし、アライグマを捕まえようと思っても、鳥獣保護管理法により、許可なく捕獲することは禁止されています。
同じく特定外来生物であるヌートリアは、1939年に軍服の毛皮の材料として輸入され、毛皮のほか食用として養殖もされていましたが、戦後、大量に放逐されたため野生化したそうです。ヌートリアもアライグマと同じく鳥獣保護管理法の対象であるため、許可なく捕獲することは禁止されています。
では、ハクビシンはどうかというと、こちらは特定外来生物には指定されておりません。毛皮目的で台湾から輸入された個体が逃げ出し、繁殖したとか、在来種か外来種かについてもいろんな説があります。また、捕獲するには鳥獣保護管理法に基づく許可が必要で、「住宅街をうろついている」などといった理由による予防的捕獲は許されていないそうです。
本市においても、アライグマをはじめとした有害獣がいろんなところで問題を引き起こしています。多くの人にとってアライグマは手に負えない動物です。どうしたものか、どこに捕獲を頼んだらよいのかと悩んでおられます。
そこで3点お尋ねします。
①アライグマ、ヌートリア、ハクビシンはどういったところを住処にしていますか。
②これら有害獣について、市民から駆除してほしいと要望された場合、本市はどのような対応をされますか。
③前年度のアライグマ、ヌートリア、ハクビシンの捕獲件数はどのくらいでしょうか。
▼4件目。「漏水による高額水道料金の発生防止について」
ここ数年、老朽化した水道管の破損による道路の陥没事故が各地で発生しています。2021年10月に和歌山県で水道橋崩落事故、2024年9月には千葉県市原市で、今年1月には埼玉県八潮市で、下水道管による道路陥没が発生しました。これらの事故により水道インフラが老朽化していること、その度合いが軽微なものでないことは、誰の目にも明らかになっています。本市においては、これら水道管路について適切な維持管理作業を行っていただいていると認識していますが、本日は、公共インフラではなく別の視点から水道に関する問題点についてお尋ねしたいと思います。
だいぶ前に新聞でこんな記事を読みました。「実家に暮らす母から、動転した声で電話があった。市から届く水道使用水量のお知らせに、とんでもない数字が並んでいるという。2か月分で25メートルプール約3杯分にあたる1606立法メートル。ご請求額は75万1969円!父と2人の家庭で使う量ではない。少し前から水の出方が悪いな、と感じてはいたが、そのままにしていたらしい。業者に床下を掘り返してもらうと、腐食した管の継ぎ目がずれ、水漏れしていた。交換などに20数万円かかったが、水道料金は、漏水の際の市の要綱で、使用実績を基に約1万5000円で済んだ。」とありました。
これを読んで、どこか遠い所の話かと思っておりましたら、3月頃、地元の方から、次のようなご相談をいただきました。アパート経営されている方です。水道料金はご存じのとおり2か月に一度請求されます。窓口納付されている方もおられれば口座振替されている方もおられると思います。この方は、口座振替をされている方ですが、毎回だいたいの水道料としては15万円ぐらいだということです。もちろん入居者に増減があれば水道料金も増減すると思いますが、ここ数年は入居者に増減はないとのことです。それが昨年の6月7月分の料金から急激に上がり始め、12月1月分では何と40万円を超えるに至ったそうです。どうしてここまでなるまで放っておいたのかと尋ねると、口座振替だから気づかなかったということでした。確かに納付書による納付であれば必ず気づきます。また、検針票にも「検診にお伺いしましたが平常に比べ使用水量が変動しています。人員の増員や漏水の修理など心当たりがあればご連絡ください」と書かれていましたが、7ポイントぐらいの細かな文字で印字されていましたので気づかなかったとのことでした。
このように、本市では利用者に漏水の可能性を伝えようとしています。しかし残念なことに、これでは伝わる可能性は低いのでないかと思います。また、これがもし自分だったらどうだろうと、検針票や口座引き落とし通知書にしっかりと目を通すだろうかと考えると自信がありません。公共の水道管が老朽化する時代ですから個人宅の水道管も老朽化による漏水があっても何の不思議もありません。実は、あまり表に出てこなかっただけで、大垣市において、こうした事案も意外とあるのではないでしょうか。
そこで、3点お尋ねします。
①こうした漏水による高額水道料金が発生した場合、本市ではどのような軽減措置がありますか。また、軽減措置を利用された件数はどのくらいありますか。
②個人の水道管も漏水しないことが一番です。個人の漏水確認方法について、どのような啓発を行っていますか。
③今回のアパートの漏水の場合、検針票や口座引き落とし通知書に「平常に比べ使用料が変動しています。」とお知らせが書かれていました。しかし文字が細かく、せっかく伝えようとしているのに利用者には伝わらないと思います。そのためには、本人に口頭で直接お伝えするか、それが無理なら、漏水の可能性のお知らせを目立つ色の紙やハガキなどにして郵送等で知らせた方が良いと思うのですがいかがでしょうか。
以上、1回目の質問とします。
【答弁】
[市長] アライグマ等の有害獣について
・捕獲実績(昨年) アライグマ26匹、ヌートリア14匹、ハクビシン7匹
・市から箱罠を貸し出ししている、捕獲した有害獣の処理費は市が負担している。
[教育長] 学びの多様化学校について
・西濃学園との連携により、教員研修会の開催や市内中学校2校で社会的自立に必要なスキルを基にした実践を進めている。
・学びの多様化学校の分教室の設置については、他地域の実践を参考に検討中。
・費用面の支援制度については、考えていない。
[教育委員会事務局長] 新田屋内運動場について
・新田屋内運動場は、6月30日に市へ引き渡され、愛称も発表される。
・自治会行事、事前登録団体のスポーツ活動、学校などの利用も想定している。
・子ども向けスポーツ教室も計画する。
・施設予約システムで予約。スマートロックを導入する。
[水道部長] 漏水による高額水道料金の発生防止について
・漏水による高額水道料金が発生した場合につきましては、利用者の負担を軽減するため、漏水修理後、通常の使用水量以上の量に対して、半分を軽減している。
・使用水量が通常の20倍を超える大規模な漏水の場合は、その分を全て軽減する措置を講じる。
・令和6年度の軽減措置の利用件数は260件。
・確実に利用者へ伝えるため、今年5月から検針票に加え、漏水の可能性がある事を記載した色付き用紙を郵送にてお知らせすることとした。
[一般質問 二回目登壇]
ただいまは、それぞれご答弁いただき、ありがとうございました。
〇まず、新田屋内運動場についてですが、
6月30日に愛称なども発表になるとのこと、楽しみにしています。
〇次に、「アライグマ等の有害獣対策について」ですが、
近年、行政の役割は多様化し、従来は民間や個人の責任とされていた分野にも積極的に関与するようになっています。例えば、空き家対策や婚活事業がそうです。これらの取り組みは、時代の変化に対応し、より住みやすい社会を実現するために行政が果たすべき役割として認識され始めたからだと思います。今回お尋ねしましたアライグマ等の有害獣対策についても一昔前であれば、行政の役割ではなかったかも知れません。行政が担うべき領域は、社会の変化に応じて増えていくのだと改めて感じています。昔のように個人やコミュニティの力だけでは対応できない問題が増えているからこそ、行政が積極的に関わることが必要になってくるのだと思います。
野生のアライグマは繁殖力が非常に強く、適応力も高いため、対策を講じなければ10年で50倍に増加するという試算もあります。これは、アライグマが年1回の繁殖期に3匹から6匹の子を産むことや天敵が少ないことが要因とされています。何もしなければどんどん増えていきます。
アライグマの捕獲は、野生鳥獣の保護と被害防止の両立が求められる「鳥獣保護管理法」に基づいて行われます。全国には「外来生物法」に基づいた捕獲ができるようにするために「アライグマ防除実施計画」を策定している自治体もあります。例えば、刈谷市はアライグマ防除実施計画、尼崎市では「アライグマ・ヌートリア防除実施計画」を作っています。つまり、このアライグマ防除実施計画があれば計画的な捕獲が可能となり、より正確に生息実態を把握し早期対応を打ち出せるということです。しかし、できることならば、県単位で、つまり岐阜県で防除実施計画を策定していただくのがベストだと思っています。それは、いくら大垣市でアライグマを防除しても周辺市町からまたやって来られたら、アライグマと「いたちごっこ」せざるを得ないからです。江崎知事は、ニホンザルに関する鳥獣害対策で「政策オリンピック」を始めると発表されましたが、私は、アライグマやヌートリアも問題だと感じています。ぜひ、岐阜県とも協議していただきアライグマ等の有害獣対策について検討していただければと願っております。
〇「漏水による高額水道料金の発生防止について」は、
問題の大きさを認識していただき、さっそく先月から新たなやり方で漏水の可能性についてお知らせしていただいていることでした。迅速にご対応いただき、ありがとうございます。しかし、これで完璧というわけではないと思います。
例えば、国では、水道分野におけるスマートメーターの導入を進めています。スマートメーターは通信機能を備えており、各住居を訪問せずに検針データを把握することができます。漏水の早期発見といった業務効率化や高齢者の見守りサービスにもつながります。静岡県湖西市は、2027年度に、市内全域、約23,700戸に導入を図る予定で、これにより検針時間は5,676時間から、わずか60分になると見込んでいるそうです。ぜひ、ご検討いただきたいと思います。
〇最後に「学びの多様化学校について」ですが、
多様化学校は検討中、補助金制度はつくらないというご答弁でした。なんか少しもやもやしています。最近いろんなところで、さだまさしさんの名曲「道化師のソネット」が流れています。この曲は40年以上前に作られた曲ですが、最近では女性歌手も歌っているようです。私の勝手な解釈ですが、この曲は、不登校問題の世界を表していると思います。そして、今回、子どもたちの代弁者として、不登校問題をとりあげるに際し、この世界観を大切にして述べたいと思っています。
もともと、西濃学園は、学校に行きたくても行けない子どもたちの支援を目的としたボランティア団体として、1991年に大垣市西地区センターで産声をあげたと聞いております。当時の小倉満市長や山本次能教育長もご支援されていたと伺っております。大垣市では、すでに30年以上前から、不登校を課題として認識していたと言えるわけです。
私は不登校問題に精通しているわけではありませんが、4年ほど前に小学校のPTAをしていたときに、不登校児童が増えてきていることが問題だと感じました。そして、PTA役員たちで西濃学園に行き、実際に子どもたちが授業を受けている様子、クラブ活動の様子、寮の部屋の様子などを見学させていただきました。また、その後、理事長の北浦茂先生に大垣までお越しいただき、小学校保護者向けに講演会を開催し、大きな反響を呼びました。そして、昨年12月には、西濃学園の教育実践報告会も聴講させていただきました。この報告会では、在校生はもちろん、卒業生や、その親御さんなどもステージに上がられ、在校生は前にいた学校での生活や悩みを語り、西濃学園に転校したことにより、自分が変わっていくのを実感している。また、卒業生やその親御さんは当時を振り返り、今こうしてしっかりとした社会人として頑張っていられるのは西濃学園で学んだかららだと振り返っておられました。そうそう、卒業生で大学の教育課程を経て先生として戻ってきた人もいるそうです。北星学園余市高校の実話「ヤンキー母校に帰る」みたいだと思いました。もちろん、このような成功事例ばかりではないと思いますが、いま現在、学校に行けなくて悩んでいるお子さんや親御さんに聞いていただきたいと思ました。きっと勇気をもらえるに違いありません。
また、学園長の加納博明先生は、前職は瑞穂市教育長を務めておられた方ですが、第二の教員人生として毎日往復70キロを車で通って生徒たちの指導にあたられておられます。しかし、知り合いの校長先生からはこんなことを言われたそうです。「学校に行けないから不登校になっているのに、その子が行く学校っておかしくないですか」と。加納先生は、「不登校のお子さんは、聞いてみると本当は学校に行きたかったと言うんだよ。本当はこんなことを勉強したかったとか、友達とこんなことをやりたかったとかという気持ちをみんな持っているんだよ。そういう子が行くことができる学校、それが学びの多様化学校だよ」と、答えたそうです。私は、本市の「とまり木教室」や「ほほえみ教室」も素晴らしい教室だと思います。少し止まると書いて「歩む」という漢字になります。子どもたちが一歩一歩、歩み出す意味でも、とまり木教室というのはいい名前だなあと感じています。しかし、やはり学校というのは、加納先生の言葉ではありませんが、恩師や友人との出会いの場でもあり、それがとても大きな財産になると思うんです。残念ながら、その辺はとまり木教室などでは得ることが難しいように感じています。
先ほど申し上げたとおり、全国的に、フリースクール等に通う子どもへの授業料支援を行っている自治体は増えてきています。私は、地方自治体は自前の学びの多様化学校を設置するか、もし設置できないのであれば奨学金とか補助金制度、または学びの多様化学校への留学制度を設けるべきだと考えます。
たとえ話をすると、A市とB市があったとします。周辺にはC町とD町があります。A市は自前の消防を持っています。しかしB市は自前の消防をもっていない。C町D町はA市に消防業務を委託しています。では、B市にはどういう選択肢があるでしょうか。答えは?そうです。B市は自前の消防をもつか、もしくはA市に負担金を支払って委託する。この2つしか選択肢はありません。どちらもしないという選択肢はありえないわけです。消防を例にとりましたが、教育だって、不登校問題だって同じではないですか。市内の中学校に通えないのなら、もうジ・エンドですか?使いたくない言葉ですけど「人生詰んでしまった」ということですか。そんなことないはずです。私の大垣市はそんな街であってほしくありません。学びの多様化学校を持っていない市町村は、やむを得ず、他市町村にある学びの多様化学校に通う生徒に対して、奨学金とか補助金制度、留学制度などを整備することが自然だと考えます。
悩める子どもたちが一人でも自立し、子どもたちの無限の可能性を高められるのであれば、どんな支援も惜しむ理由などないんじゃないでしょうか。
いま、エビデンスという言葉がよく使われています。大垣市においてもエビデンスを基にした施策が行われていると思います。はやりものでエビデンス、エビデンスといわれていますが、実は活用するのは難しい。質的調査だけではいけないし、かといって量的調査だけでも具合が悪い。しかし、エビデンスをもとに不登校問題の改善を進めていくのであれば、現在、492人の不登校のこどもたちがなぜ不登校なのか、また、学校に行かずにどのように日々を過ごしているのかという質的調査、フリースクールに通っている子は何人なのか、学びの多様化学校に通っている子は何人なのかといった量的調査、これらを把握し分析したうえで、施策を行っていく必要があると感じます。
また、国は将来的には全国300校の設置を目指しています。300ですよ。2023年度の住みやすさランキングで全国26位にランクインし、県内トップの順位を記録した大垣市がこの300に入らないということは、ちょっと想像できません。さきほど、学びの多様化学校の設置については検討中とのことでしたが、全国で300校も作ろうというのに、大垣がそこに入らないという選択肢はないと思います。もしあると言われたら悲劇を通り越して喜劇であります。ぜひ、前向きにご検討いただきたいと思います。
既存の学校教育の中では、適応できない子どもであっても、その中に、未来のエジソン、アインシュタインといった人材が埋もれているかも知れません。子どもたちはみんな可能性を秘めています。私はすべての子どもたちを応援したいと願っています。小学生、中学生の子どもたちは、いわば人生がまだ始まったばかり、人生の第1レースに立ったばかりです。その第1レースのちょっとしたつまずきで人生が狂ってしまい、その後、元の人生に戻れなくなってしまう人もいる世の中で、大垣市にあっては、何度つまずいても、そっと寄り添って、必要なら手を貸してあげる、何なら人生を第10レースぐらいまでやり直させてあげられるまちであってほしいと願っています。
宮澤賢治風に言うならば、「東ニ迷ウ子ドモアレバ行ッテハゲマシ、西ニ悩ム生徒アレバ静カニ耳ヲカタムケ、南ニ不安ソウナ子ガイレバ、コワガラナクテイイ、トイイ、ソウイウ教育者ニ、ワタシハナリタイ」とか言うんだと思います。
最後になりますが、「猫の事務所」は、ちょうど100年前の大正15年に書かれた物語で、冒頭の話は、劇団俳優座の「猫、獅子になる」という舞台の物語です。人生には奇跡が起きる。そんな希望を与えてくれ、最後はハッピーエンドで終わる物語です。何と30年以上引きこもりだった女子生徒も救われるんです。ぜひ、いま苦しんでいる子どもたちやその保護者の方々に、あと一歩、あと一歩、寄り添っていただきたいと願っています。子どもたち誰もが、自分の人生の中では主人公です。悲しみや苦しみをかかえている子どもが現実にそこにいます。この議場におられる方に問いたいと思います。今回、私が申し上げたことは、おかしいですか。滑稽ですか。しかし、子どもたちの笑顔を見られるのなら、全力で道化師にでもなりたいと思っています。すべての子どもたちの人生がハッピーエンドになるシナリオをみんなで書いていきませんか。お願いします。
以上で、私の質問を終わらせていただきます。